2024年の正月、5年ぶりに実家に泊まった。久しぶりに見た実家は、いろんなものが古びていて、時間が止まっているようだった。
元日の朝、私は洗面所の棚から片付けを始めることにした。
洗面所の棚、全部出す
朝ごはんを食べて一段落した後、早々に洗面所にある籠の棚、ここから整理しようと母に声をかけた。
正月だから遠慮しよう、とはならなかった。この家に季節感はない。ただの普通の日に娘が急に帰ってきて、なんだか掃除し始めた、くらいに思っているのだろう。
引き出しは3段あって、1段につきかなり深さがある。これがまずい。奥底にあるものは全く出番がなくなる。使いにくいはずなのに、買い替えるという発想がない。
下着類、タオル類、ハンカチ。いろいろ入っていたが、とりあえずリビングに持っていって、全部ひっくり返した。
中身を全部出してみて気づいた。もうボロボロで、捨てていいと即判断できるようなものばかりだった。ここでまた悲しくなる。こんなに古いものを使わせていたのかと。
ただ、全部捨てるわけにもいかない。「人のものである」「私のものではない」。これを忘れずに、やりすぎないように始めた。しょっぱなから喧嘩しては先行き不安なので、ぐっと抑えて優しく。
母のハンカチ、2巡する
母のハンカチが大量に出てきた。1個ずつ見ていくことにした。
プレゼントでもらった薄い花柄のハンカチ。捨てられないのはよくわかる。ただ全く使ってないのも事実で、使っていないということは使い勝手が悪いということだ。(これは自分にも当てはまるのでよくわかる。)
大切なものは無理して捨てなくていい。でも古くなったものは捨てよう。ハンカチなんて高くても1,500円くらいだから、また買えばいい。そう話して選別スタート。
1巡目。母は「これはあの時もらった」「これは誰から」と、割と覚えている。結果、全然捨てるものが少なかった。これはまずい。
2巡目。今度はちゃんと広げて、シミや穴がないか確認した。よく見ると、シミが残ったままのもの、何かに引っかけて穴が空いたもの。複数あった。「大切なものだけど、もうさよならしてもいいんじゃない?」と何個も提案した。本当にまた欲しくなったら、自分で好きな柄を買おう。そもそも、ぶっちゃけハンカチ使わないでしょ、という話もした。
母は大体「まぁそうだよね」と理解を示してくれた。思っていたより「これはいらない、これもいらない」とどんどん作業が進んだ。すぐに慣れてくれた。柄を厳選して、5枚だけ残した。
父、登場する
ハンカチの次はタオル類。これは選別がスムーズだった。広げてみると一目瞭然で、捨てるタオルと残すタオルの差が明確だった。
思ったよりスムーズに作業が進んだと思ったら、そこに父登場。
「なにやってるの」と私たちの作業に首をつっこんできた。捨てるためにゴミ袋に入れたタオルを、出し始めてしまう。
「もう捨てるんだから、わざわざ袋から出さないで」
「いや、一回見るんだ」
数回やりとりして、若干の喧嘩勃発。「じゃあ全部袋から出せばいいじゃん」。勝手にしろと言わんばかりに私は無言。
父は袋の中からタオルを2枚取り出した。「これは使う」と。数年使っていない──いや、今まで一度も使っていなかったタオルを2枚確保した。
もう無理して捨てさせるのはやめた。
はあ。戦いは始まったばかり。いや、戦いではなく、安心安全な実家を目指さなくてはならない。
カビ臭いタオル
この後すぐ、タオル選別の時に台ふき用に残した1枚を水でぬらしてテーブルを拭いた。
母が気づいた。カビ臭い。
すぐに捨てた。
そう、それだよ。使ってないものは今更使っても使い物にならない。普段からローリング戦法で使い回していれば、そんなことにはならなかったはずだ。
タオルとハンカチだけで2時間
私の実家の片付けは、タオルとハンカチから始まった。これはまだ序章で、ここだけやるのに2時間かかっている。こんなんで部屋全部終わるのだろうか。
捨てることの体力より、説得と説明の方が消耗する。ちょっと先の未来の話をしたり、この先これは要らないよと伝えたり。そういう会話に時間がかかる。体力的にも精神的にもかなり疲弊した。長々説明しないと、特に父はわかってくれない。できれば父がいない時に全部やりたいくらいだった。(そういうわけにもいかないが。)
この正月は、じっくり腰を据えてやっていこうと思う。
ちなみに、父がゴミ袋から救出したタオルには「水曜どうでしょう」と書いてあった。なんでそんなタオルがあるのか。聞いたが、父は番組を全く知らなかった。なんでそのタオル家にあるんだよ。
残留を勝ち取ったタオルとハンカチは棚に戻して、一旦いつも通り生活ができるようにした。ただ、この棚は買い直す必要がある。今日捨てた分だけ、もっと小さい棚で済むことがわかった。小さくなれば、狭い脱衣所がもっと広く使える。
そもそもこの棚は、私と妹が実家にいた頃から使っている。2人分が抜けたのに、同じ大きさの棚をずっと使っていた。引き出しにスペースがあると、そこにどんどん物を入れてしまう。スペースがなければ、入れる物を選別するはずだ。
スペースがあると物が増える。この仕組みが、ほんとに嫌いだ。
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